SMART DRIVERS RESEARCH

13
2015年3月31日
スマートドライバーズリサーチ [ 第13回 ]
国産自動車交通株式会社 編
命を預かるタクシードライバーから学ぶプロの運転技術とは

多くの人にとって、もっとも身近なプロのドライバーといえばタクシーの運転手さんではないでしょうか。彼らから安全運転や、スマートドライブに関して学べることはたくさんあるはずです。今回は東京スマートドライバーの活動にご賛同いただいている東京無線タクシーに加盟している国産自動車交通株式会社にインタビュー。丁寧な運転や安全に関するお話を伺ってきました。

タクシードライバーの1日

スマドラ:本日はよろしくお願いします。タクシードライバーさんは朝晩問わず24時間営業なイメージですが、普段どのように働いていらっしゃるのですか?

国産自動車交通(以下敬称略):シフト制です。朝から深夜、昼から翌朝、それから朝から夕方、夕方から翌朝という4パターンがあります。ですから朝、昼、夕方の1日3回点呼をして、それぞれ出発していきます。

スマドラ:クルマの点検は整備の方がおこなっているのでしょうか。

国産自動車交通:毎日のクルマの点検もドライバー自身がおこなっています。ドライバーが水やオイル、ベルトの張りなどをチェックし、ライトの点灯などに関しては整備管理者が出発前に必ずチェックしています。

スマドラ:安全のために、しっかりと見ているんですね。ドライバーの方は運転や点検以外にもなにか対策をされていますか?

国産自動車交通:そうですね。我が社では有志で事故ゼロ委員会というものをやっています。月に一度、会合を開いて事故防止につながる運転の方法や心がけについて話し合っていますね。

画像1

タクシードライバーの1日について語る営業部の宮澤賀津雄さん。

画像2

お昼の点呼の様子。営業を開始するタクシードライバーの皆さんが一堂に会する。

ズバリ、プロと一般のドライバーの違いとは

スマドラ:お客さんの命を預かるタクシードライバーと一般のドライバーでは運転に何か大きな違いがあるのでしょうか?

国産自動車交通:当たり前ですが、1番は安全確認ですね。横着せず、首を振ってきちんと確認するということです。でも意外とできないんですよ。プロとして運転できる2種免許を取っていてもしばらくするとそういう意識が薄れてきてしまいます。だから、そういった安全確認への意識とクルマがどういう風に動くものなのかを思い出させるために「たこつぼ」と呼んでいる特別なコースで、定期的に実技練習を行っています。我々タクシードライバーは真っ直ぐ走る、停まるのは得意なんですが、バックしたり細い道を曲がったりとかはあまり得意でない人もいます(笑)。どうすれば安全に車を動かせるか、考えながらたこつぼで練習するのです。
あとは安全確認もそうなんですが、白線の前で停まる、ウィンカーを早めに出す、そんな当たり前のことをきちんとやっていけるかどうかが一般のドライバーの方との違いではないでしょうか。

スマドラ:特有の運転ルールなどはありますか?

国産自動車交通:重大な事故が多い右折時にありますね。我が社の名前である国産自動車にちなんで「国産ルール」というのがあります。簡単に言えば「曲がる前にはいったん停まろうよ」ということなんです。対向車がいなくても必ず一時停止する、対向車やバイクが来ていないか見る、右を見て、再度対向車の確認をしてから右折する。右折中も、必ず徐行で走ることや、横断歩道手前で自転車・歩行者の確認をすることをルールとしています。このルールもつまり安全確認を徹底しようということですね。

「たこつぼ」と呼ばれる特別なコース。前進で入って、コース内で方向転換し、前進して出てくる。プロでも一回目で成功する人は少ない。

国産ルール

右折時の安全確認を徹底する「国産ルール」。

ナビに頼りっぱなしじゃいけない!?

スマドラ:お客さんを乗せているとき、特に気をつけていることはなんですか?

国産自動車交通:運行計画をきちんと立てるということですかね。タクシードライバーは反応がいいので、「あ、ここ曲がって!」という声に対して急にハンドルを切ってしまうんです。そうすると事故につながる可能性も多くて危ないんです。ですからそうならないように目的地までどのような道を走るのか、ライン取りはどうするのか、あらかじめ決めておきます。そうすれば慌ててハンドルを切るということもなくなりますし、急ブレーキや無理にスピードを出すこともなくなります。カーナビは便利ですが、頼りすぎるのも危険ですね。事前に運行計画を立てなくなってきますから。

スマドラ:ではタクシードライバーの方々は、基本的に道を覚えているんですか?

国産自動車交通:覚えているのが理想なんですけどね。最近はランドマークになるような景色がどんどん変わって覚えるのもなかなか大変です。ちなみにナビが本当に役立つのはお客様の目的地の近くに来たときですね。ご自宅であったりすると住宅地の細い路地に入ったりするので、そういうときナビは心強いですね。

スマドラ:よくお客さんに「急ぎで!」と言われることもあると思うんですが、そんなときはどうするんですか?

国産自動車交通:正直な話、急いだところであまり到着時間は変わらないんですよ。だからあえてオーバードライブを入れてエンジン音を大きくして、アクセルをけっこう踏んでいるように誤魔化したり(笑)。万が一急いで事故を起こした場合、そっちの方が時間はかかりますから。本当に急がなければいけないときは120%の集中力で運転しますね。そういうときこそ、安全確認や白線の前で停まる、ウィンカーを早めに出すなど、当たり前のことをきちんとこなすような運転を心がけています。
あ、すいません点呼の時間なのでちょっと失礼します。

大平治さん

運行計画の大切さを語るベテランドライバーの大平治さん。

安全とサービスを見直す点呼

ここで出発前の点呼が始まりましたので、しばらくその模様を実況します。

それでは点呼をはじめます。
おはようございます!今日は曇り後晴れ。降水確率は0〜10%といったところです。南の風が強く吹くということですが、暑いですね。気温も味方につけられたらいいと思います。ただ風が強いなと感じたら、ドアがバーンと開いたり閉じたりしないように開閉時はしっかり押さえてください。あとはサービスに関してですが、お客様が行き先は○○と言ったら、○○ですねと確認。コースの確認。目的地の近くに来たらどの辺に停めたらよろしいですかと聞いてください。丁寧な接客をお願いします。交通違反は事故につながりますから止めてください。都内のほとんどはUターンと右折禁止ですから。スピード違反もやめてください。スピードを出すと視野が狭くなる、視野が狭くなると事故につながります。プロのドライバーですからきちんと意識していきましょう。

・・・
それでは唱和をお願いします。
「乗って良かったをすべての方に」(乗って良かったをすべての方に)
「あわてずに、バックの前に深呼吸」(あわてずに、バックの前に深呼吸)
「お待たせしました東京無線です」(お待たせしました東京無線です)
「ドアを閉めますよろしいですか?」(ドアを閉めますよろしいですか?)
「どちらまでお送りしましょうか?」(どちらまでお送りしましょうか?)
「コースはどのように参りましょうか?」(コースはどのように参りましょうか?)
「安全のためシートベルトをお願いします」(安全のためシートベルトをお願いします)
「メーター入れます」(メーター入れます)
「おサイフの忘れ物ございませんか?」(おサイフの忘れ物ございませんか?)
「また東京無線のご利用をお願いします」(また東京無線のご利用をお願いします)
はい、それではよろしくお願いします。


点呼

これから出発するドライバーの皆さんを笑わせつつも、しっかりと重要なポイントが伝わるように話されていた。

首都高をドライブするコツとは

国産自動車交通:失礼しました(笑)。

スマドラ:いえいえ。かなりしっかりと朝礼をされていてビックリしました。いつもあんな感じで送り出しているんですか?

国産自動車交通:そうですね。そうしないとみんな悪さばっかりするので(笑)。締めるところはしっかり締めて、気持ちよく出て行ってもらえるよう意識してやっています。

スマドラ:なるほど。そのほうが仕事もはかどりますよね。話は変わりますが、お客様を乗せたとき、首都高に乗ることも多々あると思うのですが、首都高を走るコツはあるのですか?

国産自動車交通:車線変更をあまりしないことですかね。車線変更を頻繁にしても到着時間はあまり変わりませんから、事故などのリスクの方が大きいと思います。それに、首都高って複雑ですよね。あ、ここはこっちの路線だった、なんて間違え方もするので。だから道を間違えないって意味でも、車線変更をあまりしないことをオススメします。

スマドラ:スマートドライバーに参加していただいてから、何か変わったことはありますか?

国産自動車交通:そうですね。参加してから我が社の首都高での事故は0です。特別なにかをやったという訳ではないのですが、スマートドライバーに参加したことによって、皆の中で改めて意識したものがあったのかもしれませんね。

スマドラステッカー

国産自動車交通のクルマには、スマドラステッカーが貼られている。

乗って良かったをすべての方に

スマドラ:先ほど景色がすぐ変わるとおっしゃっていましたが、景色が変わると言えば2020年の東京五輪に向けて外国の方の乗車もかなり増えると思います。何か対策などはされているのですか?

国産自動車交通:外国の方がご乗車される場合はご依頼内容が列挙されている指差しシートを使ったりとか、単語で会話したりだとか。あと多いのはホテルのドアマンからどこそこに行ってくださいと頼まれるパターンですかね。あとはホテルのカードを見せられてここに行ってくれと言われる場合もあります。最近は英語の講習会にも参加しています。そこで発行される修了証をタクシーに貼っておけば、規制の多い羽田空港でも優先的に入ることができたりするので。


スマドラ:外国の方でもご利用できるよう、しっかりと準備されているのですね。日本のタクシーに安心して乗っていただけると思います。本日はありがとうございました。


「乗って良かったをすべての方に」という標語を胸に営業していると語る宮澤さん。

外国の方を乗せたときのエピソードを紹介していただいた。

・国産自動車交通株式会社
・設立:1952年1月18日
・従業員数:約600名(グループ全体)(2015年3月31日現在)
・所在地:〒176-0014 東京都練馬区豊玉南3丁目24番18号
・URL:http://www.kokusan-j.com/


取材後記
プロには特別な技術があるのでは。そんな想定をして国産自動車交通さんに取材させていただいたところ、1番大事なのは安全確認など当たり前のことをきちんとこなすことだとおっしゃっているのが印象的でした。確かに、上手さよりも安全や安心の方が同乗者にとっては大事です。特別なことより、基本を大事にすることがスマートな運転に繋がる。今さらながら、基本に立ち返ることの大切さを再認識しました。

データ使用に関して
TOKYO SMART DRIVER は交通事故削減を目的としたプロジェクトです。TOKYO SMART DRIVERおよび、SMART DRIVERS RESEARCHで公開されているデータは交通安全につながる大切なデータだと考えております。こちらのデータを使用した活動をお考えの企業、団体の方は、お気軽にお問い合わせ下さい。
お問い合わせ
BACK TO TOP